精神疾患(鬱)に対するアプローチの考察
人は崖から転げ落ちるとき、手渡されたクサビを壁面に打ち込み落下を防ぐ
それでなんとか落下は防げた・・・
精神状態の悪化で負のスパイラルに落ち込み、心療内科で抗うつ剤のような向精神薬を渡されて、それを服用することでようやく負のスパイラルで落ちて行くのを防げた・・・
落下を防ぐための向精神薬はクサビのようなものだと思います
その後、落ち着いてきて服用を減らし始めるが、そうすると今度は「落下の恐怖」にさいなまれたりします
「クサビがあるからこそ落ちない」という安心感が強固にあり、今度は崖を登らなければいけないのに、そのクサビを握ったまま手放せない
恐怖感と安心感のバランスの狭間で動けなくなってしまう人も多いようです
クサビから手を離しても大丈夫だと思えるまで、とても時間がかかります
落下する恐怖を克服する時間と言ってもいいでしょう
ですが、そんな恐怖と向き合わなければ克服は出来ません
私がこの世界に入るきっかけとなった鍼灸の先生のところへも、精神疾患の治療を求めて来ている人がたくさんいたようです
実際、「治癒したい」と思い先生のところに来るまでには多くの時間を要したことでしょう
恐怖と向き合い、がけの上を見上げて「登りたい」と思える勇気が出るまでの辛さは簡単には想像できません
ですが、誰しも崖の途中などに留まっていたい人はいないはずです
やはり心の状態も同時進行で改善しないと、なかなか前には進まないと思います
また、そんな安心感と恐怖の狭間にある状態で現れてくる身体の不調があります
萎縮して身体が硬くなっている人が多いと思います
ただ単に身体を整えても、心の状態が変わらなければ、すぐにまた元に戻ってしまいます
繰り返し繰り返し・・・ボディセラピーを受け続ける
受け続けていれば改善することもあるかもしれませんが、お金もかかりますし、何より「いつのことになるやら・・・」という先の見えないものでもあります
身体だけ整えて「治癒しました」などとは口が裂けても言いたくないものです
さらには、環境というものがたいへん重要でもあります
治癒に至るための環境なのかどうかは、時間とも大きく関係します
今に至ってしまった環境そのままでは、克服すべきものが二重三重にその人を取り巻いているという状況であります
ですから、そんな環境へのアプローチも大変重要になってきます
他人が直接環境に手を加えることなど出来ません
ですが、そんな環境の影響に対するバリアーをはることは可能だと考えています
なにものも通さないバリアーではなく、与える影響を変化させるクッションのような・・・
そんなバリアー機能を持たせることが出来るのだろうと
アロマやハーブも併用してアプローチすることは非常に有効な手段だと考えています
この場合、単に「恐怖を取り除く」などという安易なアプローチをするべきではないでしょう
また、そんな安易なことは出来ないと思っています
大切なのは、まずは恐怖と向き合うことであり、その「勇気」を後押しするアプローチだと思います
勇気を持って恐怖と向き合うことで恐怖の正体を知ることができる
その勇気は、身体の元気から
その身体の元気は心の元気が基となるものです
心を元気づけ、勇気づけながら身体を元気づける
そうして恐怖と対峙し
崖の上に未来や希望を見いだして、初めてクサビから手を離して登ってゆけるのですから
また、環境に対してもアロマは有効な手段と思います
少し、ほんの少し「空気」を変えるだけで、人は心に微細な変化をもたらします
そういう変化を起こすことで、環境も徐々に変わっていければ最善でしょう
少しずつ
変化を起こし状態を変転させてゆく
新陰流の「転(まろばし)」の極意がここにあります
ゆったりと
穏やかではあるが着実な
そんなセラピーのアプローチが大切なのだろうと思います
如水庵
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