身体感覚・序章 -管楽器奏者の呼吸と姿勢についての考察


楽な呼吸というものは、姿勢によるところが大きいわけですが、その姿勢についてや呼吸について学ぶ場合、言語を介するわけです。

実は、ここの言語を介して学ぶところでどうしても狂ってしまう場合が多いわけで・・・


言葉とはイメージを伝えるツールなわけですが、これが意外と曖昧です。



正しく伝えることの大切さ


例えば、ある人が「神」と言った場合、果たして「神」と言った人と全く同じイメージを持てる人はどれほどいるのでしょうか? 

たぶん一人も居ないでしょう


みんな違う「神」のイメージを持っています。

同じ国の同じ宗教の人でさえ違うのですから、国や宗教が違えばそれこそ全く違うイメージを持ってしまいます。

白く長い髭を生やしたおじいさんであったり、女神であったり動物であったり・・・・・・

言葉でイメージを伝えるというのはそれほど難しいということです。



楽な姿勢とは?


さて、本題に入りましょう。

楽な呼吸は楽な姿勢と言いましたが、この「楽な姿勢」とはどういうものなのでしょうか? 


頭を真っすぐに立てて、顎を引いて、背筋を伸ばして、足裏の真ん中で立って・・・・

これであなたの身体はガチガチになってしまうでしょう。


そもそも頭を真っすぐに立てるなんて本当は意味不明の言葉です。

丸い頭のどれが真っすぐなんだかわかるわけがない。 


顎を引いて・・・

引くという時点で筋肉を使っていますから緊張は否めません


背筋を伸ばして・・・

脊柱はもともとS字カーブを描いています。

それを「伸ばす」というのは無理があります。


足裏の真ん中で立って・・・

足裏の真ん中は本来浮いているところですから、そこに重心が行っているのかどうかはわかりずらいです。



武道の達人が自然体で立っている姿を傍から見れば、先ほどの言葉が確かに当てはまります。

なんとなくイメージ的に頭は真っすぐ立っているようで、顎は引けているようで、背筋は伸びているようで、重心は足の真ん中にあるようで・・・

しかしそれはあくまで傍から見たイメージにすぎません。

実際に自然に立っている達人さんは、特に何も意識せずに立っているだけです。


頭を立てて・・・

なんて考えて立ってはいません。

では、どのように立てば達人さんのような立ち方になるのでしょうか?



武道の身体操作と姿勢


その前に・・・


私は居合を少しやっていました

いわゆる「抜刀術」というものです。

この「抜刀術」は身体バランスが命です。


では、どのようなバランスの感覚かと言いますと、前後左右360度に重心が傾いていない感覚と申しましょうか。

そして、足裏にも重心がない感覚です。

重心となっている軸点がない状態です。

自分の体重が身体の多くの関節に分散されている感じでしょうか・・・ 

ちょうど「薄氷」の上に乗ってしまった時、なんとか体重を一点にかけないようにするような感じ。 

引力の法則に反しているような・・・

それが抜刀する時のバランス感覚です


一点に重心が出来てしまうと、その重心点を軸とした力の伝達となり、実に遅い不格好な抜刀となってしまいます。

しかし重心が分散していれば、前後左右千変万化の抜刀が可能となります。

目の前10センチほどのところに壁があっても、難なく抜刀できてしまいます。


抜刀は「腕」だけでするものではありません。

全身を前後左右360度どこにでも身体を移動させながら、しかも身体をひねりながら抜刀するので、物理学的に見ても「軸」を作った状態より速いわけです。

軸を作ってしまえば、その軸点を起点に力が伝達していきますので、力の「起こり」が発生します。

「起こり」とは、「これから力を使うぞ!」という意識の発生と、軸点からの力の伝達の発生過程です。

「起こり」が出ると、抜刀する手前で「あ、抜刀するな」と気付かれてしまいます。

気付かれたら避けられます。

そうなると全く意味ないですね。


軸点がないとどのような抜刀なのか?

細かく言うと、腕で刀を鞘から抜きながら、同時に身体を後方にずらし、腕で鞘を後ろに引きながら、腰を回して更に鞘を引く。

腕だけで抜く4倍速ですね。

また、腕だけで前方だけに抜くわけではないから、目の前に壁があってもなんら変わらず抜刀できてしまいます。


立っていても、座っていても、胡坐をかいていても、同じく重心は一点に置かない。

適度な緊張と適度な緩み。

楽な姿勢とは「いつでも楽々と動ける」姿勢なわけです。

これが「居つき」のない姿勢。

重心がどこか一点に「居つかない」という意味合いです。


正しい姿勢を感覚でつかむ


さて、少しややこしくなってしまった感はありますが、身体の重心についてはなんとなく理解いただけたのではないでしょうか。

それでは、誰にでもできる楽な立ち方、楽な座り方について話します。


これも武道で申し訳ないのですが、ある合気道の師範の方の言葉が非常にわかりやすいのでそれを用います。


立っている状態で、軽く背伸びをします。

そして、ゆっくりと踵(かかと)を「ちょん」という感じで下ろします。

ドスンと下ろしたり、踵に体重を乗せたりせず、あくまで「ちょん」と軽く下ろします。

その状態が「居つき」のない姿勢です。


椅子に座るときも、お尻を「ふわっ」と、もしくは「ちょん」と下ろします。

これが「居つき」のない座り姿勢です。

体重が足裏にもふくらはぎにも膝にも太ももにもお尻にも分散されている状態です。


このような、どこにも重心が偏らない状態であれば、どこかの筋肉が緊張しすぎることはなく、ゆえに呼吸する筋肉の緊張もなくなるわけなので、呼吸も非常に楽になります。

この時のどこか「ふんわり」とした感覚を覚えていただきたいですね。



綺麗な姿勢より楽に動ける「体勢」


これは何も管楽器の奏者に限ったことではなく、すべての演奏家の方々にも言えることです。

それでもなお呼吸を操る管楽器奏者にとって、質の良い呼吸は大切だと思います。


質の良い呼吸は質の良い姿勢から・・・

姿勢というより体勢かもしれませんね。

決まった「姿形(すがたかたち)」に囚われることなく、そんな千変万化し得る「体勢」で目いっぱい表現してほしいと思います。


また、呼吸も姿勢と同じです。

腹式呼吸と聞いて、おなかのどこを意識しますか? おへその下?上?真ん中?

 おなかを膨らまして~・・・

というふうに、よく腹式呼吸の説明が為されますが、これも「居つき」の原因になりかねません。


たいがいの人は初め「おなかの前面」を意識してしまいます。

つまり腹筋や皮膚といった「側(がわ)」を気にしてしまいます。


おなかと言ったら「腹の中」です。

内臓が詰まっている場所ですね。

何故おなかの「側」を意識してしまうかと言うと、おなかが膨らんでいるか確かめながら腹式呼吸の練習をするからでしょう。

意識しておなかを膨らまそう膨らまそうとしすぎると、かえって良くありません。

横隔膜が内臓を押し下げたりしてしまって、胃下垂になった・・・なんてことにも。



自然な体勢での呼吸は腹式呼吸


呼吸を楽な体勢で無意識にしていると、実は自然とおなかが「へこへこ」動いています。

力みのない自然な呼吸は「腹式呼吸」なわけです。

変にお腹ばかり意識してしまうと、かえって他の部分が緊張したりします。


肋間(ろっかん:肋骨の間)が緊張したり背中が緊張したり、胸の筋肉や首の筋肉が緊張したりすれば、おなかのスペース以外ゆとりが無くなってしまい、かえって呼吸はしずらくなってしまいます。

理想的な呼吸は、おなかだけでなく肋間をゆるやかに広げ、時に肩をポンプ代わりに使ってもいいと思います。


感情や心が動くままに表現しながらというのが理想でしょうか。


姿勢も呼吸も同じ。

どこかに「居つかない」ことが大切です。


如水庵

The Healer by Koji Asada

龍使いの女神の力と龍使いの力を持つHealer & Therapist 独自のヒーリングセラピーで『魂』まで【癒し】をお届けします

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淺田 こーじ


独自のボディワークとヒーリングワークによる「ゆらぎ」のセラピーメソッド開発

●ボディセラピスト
●ヒーラー
●アロマブレンダー

特定非営利活動法人 日本メディカルハーブ協会
 メディカルハーブ・コーディネーター
公益社団法人 日本アロマ環境協会
 アロマテラピーアドバイザー